天ぷら「小照」さん
市場の真ん中に位置する天ぷら屋、小照さん。創業は昭和33年。我々が生まれる前からだ。おだやかなご主人と、歯切れ良くウィットに富んだ返しがバツグンのおかみさんのお二人で営んでいる。
お二人の朝は早い。おかみさんはバスで、ご主人は築地に行くのでバイクで区内の高台のご自宅を5時台に出発する。ウチの店が開店準備を始める頃には、ピカピカのガラスウィンドーには商品が並び、調理場はきれいに片付けられ、さらに配達の商品を仕込んで、と何倍もの仕事を既にこなしている。
夜は夜で、おかみさんは一足先に帰宅されるが、ご主人は売場や排水溝の掃除に余念がない。しかも午後8時までは営業時間だから、と清掃作業は市場のシャッターが閉められた後に始める。日曜も普段手が回らないダスターの清掃やら、帳簿やらとにかくご主人の姿を見ない日は無いくらいなのだ。
長年通うお客様もたくさんいるから、今でも充分お忙しいはずなのだが、ある日ご主人がウチの店に来て、合同で特売をかけたいとのお誘いを受けた。ここ数年、市場内の他店舗が閉店したり、市場をとりまく外部環境が変化したため、もっと店を知ってもらいたい、新しいお客様に来てもらいたいと言う。
昨日と今日、特売を行った。宣伝は新聞折込と店頭のチラシ配り。当店はまぐろのブツ切りを特売。小照さんは、特大エビ天をはじめ各種魚のてんぷらを大売出し。
午後6時過ぎには概ね売り切れて、奥の事務所で一休みしていたら、小照のご主人がやってきた。新しいお客様が随分来て下さったようだ。
不景気を外部要因のせいにするのは簡単だけど、自分の店がもっと売れる努力をする方が大切。市場の「大先輩」に、今回も学ぶことが多かった。
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